S&P グローバル・マーケット・インテリジェンス

第2回 データを活用したサプライチェーンの最適化

更新日:2022年10月20日

https://ihsmarkit.com/research-analysis/datafueled-supply-chain-optimization.html

Data-fueled Supply Chain Optimization:
データを活用したサプライチェーンの最適化

S&P Global では「データを活用したサプライチェーンの最適化」をテーマに業界内でアンケート調査を行い、その結果を ホワイトペーパー (レポート)で纏めましたのでご覧ください。

本レポートは、36の業界(化学、石油・ガス、物流・船舶会社など)の900人以上の回答者を対象としたグローバル調査に基づいており、サプライチェーンのあらゆる側面に関する組織の考え方について回答を募りました。

一部内容をお伝えしますと、サプライチェーンにおけるデータ関連の「最大の課題」は何かという質問に対しては、「データへのタイムリーで容易なアクセス」と「サプライチェーン全体にわたるデータの統合」 (いずれも回答者の18%が挙げた)が上位を占めた。次いで、「データ管理における手作業とエラー」(16%)、「データ品質のチェックと不良データの修正」(15%)と続きます。
その他にもサプライチェーン全体でデータ活用の課題の幅広さが見て取れる結果となり、サプライチェーン・マネジメントにおいてデータが果たす重要な役割と、企業が直面している課題の深刻さが明らかになりました。

Peter Björkborg氏(Stena Bulk社、サステナビリティ&トランスフォーメーション担当マネージャー)は、 ホワイトペーパーで「業界は多くのデータにアクセスできますが、データは散在し、クオリティが低く、 十分に活用されていない事がよくあり、この状態が続くとするならば最悪の場合、非効率的なオペレーションや誤った決断につながるリスクが内在する。」と指摘をしています。

Port congestion
一貫性があり、正確でタイムリーなデータにアクセスすることで、企業はサプライチェーンに問題が生じたとき(あるいは生じる前でも)、それをいち早く察知し、それに対応する為に必要な情報を得ることができます。 一例を挙げると、港の混雑により沖合で何週間も待機する船舶が過去最多となっている中で、「配送の遅延」、「運賃の上昇」、「二酸化炭素排出量増加」等がおこり、サプライチェーンに多大な影響を与える可能性があります。

しかし、信頼できるデータと統合された業務プロセス(ワークフロー)を持つ企業は、効率的にピボットし、製品を配送し、顧客にサービスを提供するための代替パートナー、ルート、チャネルを確保する事が可能となります。

港の稼働状況が把握できる正しいデータを効率的に運用した場合、船舶のETAスケジューリングの改善、設備管理や人員配置などの陸上業務の支援、脱炭素化の目標達成まで、サプライチェーンの大幅な最適化を促進する可能性があることは明らかです。

しかし、多くの海運会社は、既存の技術や不効率な手動プロセスに阻まれ、データ活用をする上で必要とされる一連の流れ「データの収集、統合、検証、整理等」にリソースを割り当てる事ができず、 実用的な分析に利用する機会を損なっているのではないかと示唆されています。

Digital transformation
この課題を克服するために、組織はデジタル変革戦略の一環として、意思決定に使用する前にデータの統合と品質チェックを行うコアテクノロジーソリューションの活用など、ベストプラクティスとされるデータ管理業務を優先させる必要があります。

ワークフローを自動化し、一貫性のある検証済みのデータを、システムやユーザーに提供することでデジタル化への移行は進みます。さらにバリューチェーン全体で共有される情報の信頼性と透明性を強化する事で、 データ戦略が具体的になり、データを活用したサプライチェーンの最適化の実装がより現実的なものとなります。

海運会社は、最善のテクノロジー(航海管理システム、企業資源計画プラットフォーム、天候ルーティングソリューションなど)の導入やアップグレードを検討する際、自社のデータとそれを支えるアプリケーションについて、慎重な判断が求められます。 より確実な判断を行う為には、以下のような質問を投げかける必要があります:

誰が、どのようなフォーマットで、いつ、どのようなシステムでデータを必要とするのか?

ビジネスの意思決定をツール上で行える仕組みを構築する場合、ガバナンスプロセスを経た正しいデータが供給されてこそ、信頼性の高いパフォーマンスを発揮します。また導入当初からベストプラクティスを導入することで、 組織はデータの紐付けやリエンジニアリングを手作業で行う事で発生するリスクを回避することが期待されます。

新しいテクノロジーの導入に伴い、データの量と種類は急速に増加しています。
組織全体のデジタル化は新たなビジネス機会を提供する一方で、膨大なデータの流れを効率よく処理する事が課題と位置付けられる事が求められます。

コスト削減の圧力が高まる中、クラウドベースのソリューションは、データとテクノロジーに対する需要の増加に合わせてサービスが拡大していく事が求められ、同時に技術的なリスクを軽減することもセットで提供する必要があります。

データ管理は、サプライチェーンの最適化に不可欠です。多くの組織が多くのデータを保有している昨今の状況であるからこそ、戦略的なフレームワークの導入(データの統合、品質、透明性を向上できるプロジェクトやソリューションへの投資) に注力し、自信を持ってこれらのデータ資産を活用し、進化するサプライチェーン環境に迅速に適応する必要はあると考えられております。

この記事は2022年9月7日にS&P Global 所属の James Kwan, Director, Business Lead, EDM for Maritime, S&P Global Market Intelligenceより発表された記事を簡易和訳したものとなります。

詳しくは、S&P Global Market Intelligence, Maritime, Trade & Supply Chain,の営業担当水山(shinnosuke.miziuyama@ihsmarkit.com / 090-6236-0444)までお問い合わせください。

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