S&P グローバル・マーケット・インテリジェンス

第4回 海運・造船マーケットにおける規制と燃料転換の影響 - 2022年第4四半期

更新日:2023年01月11日

https://www.spglobal.com/marketintelligence/en/mi/research-analysis/regulations-and-fuel-transition-impact-in-shipping-and-shipbui.html

IMOの新規制により船舶供給が限定的となり、中長期的な海運市況の回復が期待される

S&P Global Market Intelligenceによると、2023年には運賃がコロナ前の水準に戻ると予想される一方、規制(廃船や運航速度)による供給への影響のため、2024年以降に市場が回復する可能性が高いという見方をしています。

2021年の新造船契約は、コンテナ船を中心に2015年以来の高水準に達しましたが、2000年代の造船ブーム期を下回る水準にとどまりました。2022年の新造契約は、価格高騰や造船所の稼働状況も相まって、多くの船主が契約価格を大幅に下げた既存契約のオプションを取った状況です。

コンテナ船部門は、新造船の投資が活発で供給が増加する見通しの為、影響がでる可能性が予想されます。他方、ドライバルカーやタンカーなど他の部門でも新規の契約は限定的となる見通しです。

代替燃料はLNGが好まれてきましたが、最近になってメタノール(グリーン燃料)がコンテナ部門を中心に注目され始めています。

既存船舶への、Efficiency Existing Ship Index (EEXI)が導入されます。また、多くの船舶のエンジン出力制限(EPL)への移行が始まり、最大速度と運転速度の低下が予想される見通しです。

排出量規制が強化され毎年評価される燃費実績の格付け制度(CII規制)により、2024年から航行速度が低下し始める事が予測されています。またCII規制に伴い2025年以降、廃船件数が増加傾向になる事も予測されています。

CII 規制は、アイドリング時間を短縮し、港の混雑のアップサイドリスクを防ぐ効果があると期待されています。バンカリングの価格高騰が航行速度を下げ、それに伴い運賃下落にも影響を及ぼしていましたが、EEXI-EPLにより、渡航速度が上がらない為、運賃が下げ止まりする要素とも考えられています。

本ブログは11月28日付にリリースされたレポート「Regulations and fuel transition impact in Shipping and Shipbuilding market – Q4 2022(英語)」のダイジェストを一部和訳した内容となります。
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