第488回 一般社団法人 ミス日本協会

2020年の「海の日」は7月23日。2020ミス日本「海の日」特別賞を受賞した森谷 美雲さんにご登場いただく7月の「会員探訪」を前に、ミス日本コンテストやミス日本「海の日」にフォーカスした特別編をお届けします。ミス日本コンテストを運営している一般社団法人 ミス日本協会にお話をお聞きします。


――戦後1950年に始まったミス日本コンテストは、ミス・ユニバースやワールドなど世界大会のあるコンテストと違い、日本女性の教養や心映えといった内面にスポットを当てているそうですが、詳しくお聞かせください。

当協会の理念は「日本らしい美しさで社会をより良くすること」です。日本らしい美しさ(3つの美)の価値を広めること、日本らしい美しさを備えた女性を一人でも多く輩出することを目指しています。この日本らしい美しさとは「3つの美(内面の美、外見の美、行動の美)」によって成り立っています。

まず、内面の美とは、誇りとルーツです。本人がどのような家庭、学校、土地、環境、社会で経験を積み上げてきたか。日本国の歴史や文化、地元のお祭り、両親の性質、そういったものに改めて目を向け、自らの性質をよく知ることで「私の足元」を確固たるものにしていきます。よく「自信をつけたい」という若い女性がいますが、まさにこの内面の美を磨くことが自信をつける特効薬と言えます。

次に、外見の美とは、鍛錬です。外見の美のことを単純に「見た目の良さ」と誤解されるのですが、そうではありません。両親から受け継いだ資質や性質も、磨かねば輝くことはありません。美しい外見であっても、日々の生活が乱れていれば、肌や髪にも必ず影響します。日々の、食事の選び方、休息の取り方、学習への姿勢、お話しの仕方、気遣いを重ねること、そういったものが、言葉遣いやオーラに必ず反映されてきます。鍛錬は一時的なものではなく、毎日の生活の営みに重ね合わせていくことです。魅力ある方は、必ず見えないところで小さな積み重ねをしているものです。

最後に、行動の美とは、将来への意志(⾃主性)です。内面と外見を整え、それを将来にどう活かすか。都度変わる社会情勢などにも照らし合わせて、夢や目標も柔軟に工夫することが求められます。また、夢や目標というと縮こまってしまうことも多いと思いますが、だいたいの方向だけ見えたら、えいやと⾶び込んで始めてしまうことも有効です。将来の夢を固めてそれに突き進むもよし、⼤いに迷いながらも夢を探索するもよし、挑戦の果てに得られた知⾒で判断して引き返すもよし。いずれも⾃主性によるものです。このように自らの将来を柔軟に思考する姿が貴ばれます。

こうした3つの美の観点から、審査員の先⽣⽅にはミス⽇本として将来に期待したい、ふさわしい⼥性に投票をいただいております。3つの美は⼀⽣かけて磨くもののため、齢20前後で完成に⾄ることはありません。ですからミス⽇本は選ばれる前はもちろん、選ばれた後も勉強のプログラムを提供しています。

――なぜミス日本の中に特別賞「海の日」が生まれたのでしょうか。

1996年、海の日が祝日になる年にミス日本「海の日」は誕生しました。「国民の祝日「海の日」を祝う実行委員会」より表彰もいただきました。当時、ミス日本コンテスト大会は「女性の社会参加の促進」から「女性の社会での活躍の促進」に方向性を切り替えていく途上にありました。ミス日本コンテストの初代グランプリが、戦後の日米親善使節となり、のちに昭和を代表する女優となった山本富士子さんであるように、国際社会に向けて美と知性を発信する使節が、もともとのミス日本の在り方です。名実ともにその形に結び付けるために、時代を問わず不変の性質としての「島国日本」の価値に着目し、盛り上げていくことといたしました。折しもそうした方向性を探っている際に「海の日が祝日になる」ということでミス日本「海の日」賞はスタートを切りました。

――ミス日本「海の日」に求められる素養や選考基準について教えてください。

ミス日本「海の日」選出は、審査員としてお招きしている日本海事広報協会のご担当者さまと、ミス日本コンテスト審査員の間で合議して決定しています。ミス日本の審査の中で「海の日」特有の審査項目があるわけではなく、ミス日本 グランプリや「水の天使」、「みどりの女神」といった他の特別賞とも同時に審査されます。ただ20年以上の選出を続けてきて、一定の方向性が見えてきています。設立当初より日本において、海あるいは海関連事業は、若い人ほど興味の減少傾向が心配されておりました。ミス日本「海の日」の理念である「島国日本に欠かせない海の恵みに感謝し、海洋業界への理解と関心を高めること」を達成するためには発信力や明るさ、積極性が欠かせません。こういった役目を果たすために「活発さ、快活さ、元気さ」に加えて「海、水、青空といった海のイメージに似合う女性」が受賞する傾向にあります。ただ、これは明文化されたルールではありませんので、年によっては例年とは違うタイプの女性が選ばれることもあります。

――ミス日本のファイナリストの皆さんは、半年間各方面の教養を学ぶ勉強会を受講するそうですが、協会としてはどのような狙いがあるのでしょうか?

勉強会は当協会が特に強みとして提供しており、リベラルアーツや社会工学に基づいて構成されていて、3つの美を磨くプログラムとして出場ファイナリストが受講しています。勉強会が始まったのは元をたどると1997年からです。最初はメイク講習や⾼齢者福祉⽀援、マナーなど3つ程度から始まり、年を追うごとに項⽬が増え、⼊れ替えも⾏われて現在は30講座にもなります。こうした勉強会が充実してきたことの理由には、出場者の意識が阪神淡路大震災や9.11 世界同時多発テロ、リーマンショックなどの影響を受けていることも大きいです。応募者たち若い層は「私はどんな勲章を持っているか」ではなく「私は何ができるか」を重視するようになってきています。この潮流をキャッチし、勉強会も発展したり、時宜に応じたテーマを取り上げたりしてきました。

――ミス日本コンテストでも2017年にSDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))へ貢献することを公式に宣言して取り組んでいるそうですが、活動内容をお聞かせください。

元々ミス日本コンテストでは、2015年にSDGsが国連の場で採択される前から、教育やジェンダー、水、海、森の各分野の社会の課題を解決するために取り組んできました。また、ミス日本受賞者のキャリアについて「女優やタレント」と想像される方も多いですが、実際には医者や弁護士、芸術家やスポーツ選手、企業の代表や政治家と様々な分野で力を発揮しています。日本らしい美しさを備えた女性が活躍する後押しをすることを使命としている当協会としては、このようにジェンダー平等を通じて女性が社会で輝くことを推し進めてきた行動自体がSDGsのミッションと符合すると考えています。

SDGsへの取り組みは、ミス日本受賞者だけでなく当協会の運営⾯においても変革のきっかけとなりました。今年3月にオフィスを移転したのですが、業務のオンライン化や省エネ照明導入、ペーパレス化の促進、すべてではないにしろデスクやオフィス家具の木質化を選ぶなど、選択と行動に影響を与えています。

SDGsは学ぶだけでは意味がなく、SDGs貢献のためにどれだけ現実的な行動ができたかが最も重要です。2019年に引き続き、一般の方々も参加可能なSDGs勉強会「ACTS SDGs」を開催しており、座学の後にディスカッションがあります。ここでも重視することは、「話を聞いて何か変わったか?」というところです。こういった学びの機会、変革の機会をミス日本受賞者だけでなく、OGや応募者たちも巻き込みSDGsというテーマで結び付けていく効果もあります。SDGsは今後の社会では必須テーマとなるため、特に就職や将来を考える学生世代(ミス日本挑戦世代)には強くアピール可能です。⼩さな変化が確実に起きており、劇的な変化につながるだろうと期待が膨らんでいます。

――新型コロナウィルスの影響による外出自粛でミス日本のみなさんも活動が制限され、SNSを通じて情報発信をされていますが、気を付けているようなことはありますか?

コロナ下における情報発信で注意する点は、元気づけです。残念ながら昨今のニュースを見て、元気になることはほとんどありませんし、ネット上でもどちらかといえばネガティブな情報とストレスが優勢にあるようです。こうした状況下で、より注目を集めやすいミス日本たちが元気な姿、元気な意志を示していくことは魅力的です。ミス日本が最も強みを持つ場面は、フェイスtoフェイスの現場ですので、本当は彼女たちにもっとそういう機会をもたらしてあげたいと願っているところですが、しかし今は地味であってもできることを提供し、逆に彼女たちが希望するテーマや企画を支援していければと思っております。
ミス「海の日」メッセージ動画
2019年 髙橋 梨子 さん
2018年 山田 麗美 さん
2017年 三上 優 さん
2016年 杉浦 琴乃 さん
2015年 大河 南都子 さん
2014年 花岡 麻里名 さん
2013年 渡辺 けあき さん
2012年 増田 麻美 さん
2011年 樋口 彩乃 さん

■ミス日本公式サイト:https://www.missnippon.jp/