日本における船舶投資ファンドの先駆け
アンカー・シップ・パートナーズ株式会社のみなさまです

< 第485回 > Wed Feb 05 00:00:00 JST 2020掲載


アンカー・シップ・パートナーズ株式会社
ディレクター 井上 耕輔 氏
ディレクター 戒能 通康 氏
シニアマネージャー 山田 武史 氏
シニアマネージャー 吉村 朋彦 氏


――「アンカー・シップ・インベストメント株式会社」時代に過去2回会員探訪コーナーにご登場いただいているのですね。当時と現在を比較していかがですか?


吉村  2011年登場のときは「2号ファンド」設立に向けて動いていた時期ですが、現在では「4号ファンド」の運用開始をしております。

井上 当時と比較して大きく変化したところは、投資案件の種類と幅が格段に広がったことです。以前はBBCベースの案件が中心でしたが、その後、定期用船案件、株の取得というかたちでの事業投資案件へと広がりを見せています。「株」と言ってもPEファンドやベンチャーファンドのようなイグジットありきでキャピタルゲインを狙うような手法ではなく、海運会社のためになるような投資、海運会社の皆さんとずっと良い関係を保っていけるような事業投資を狙いにしていますので、いわゆる一般のファンドの投資案件とは一味違った立ち位置にあると思っています。

吉村 現在、役員を含めると22名の社員がおり、これまで蓄積したノウハウを背景に、船舶保有や資金調達に関するコンサルティングなど、海運業界へ向けたソリューションを幅広く提供しております。社員一同、スピード感をもって仕事に取り組んでおります。


――ファイナンスの一形態としてのファンドというイメージがあったのですが、BBCからTC、そして事業投資と広がりを見せているのは「ファイナンス」という言葉では一括りにできませんね。


 


――みなさまそれぞれのご入社のきっかけは?


井上 2014年8月に入社しました。前職は2000年にみずほ銀行へ入行し2011年~2013年に香港へ赴任し船舶案件に携わっておりました。当時審査を担当していたのが、山田です。

山田 はい、私もみずほ銀行出身で2003年に入行しました。審査部門で主に日系船主や非上場造船会社・海運会社等の審査を担当しておりました。アンカーへは2016年2月に入社しました。

井上 そして戒能はみずほ銀行の同期です(笑)。

戒能 同期です(笑)。アンカーへ2018年10月に入社しました。銀行ではリスク管理部門や有価証券を売買する市場部門などを経験してきました。その点では、海運業界を知らないまま入社したことになりますが、井上とは留学先が一緒だったという縁もあり、現在に至っております(笑)。

吉村 私は2008年1月に入社しました。みずほ銀行出身ではありません(笑)。船もファイナンスも全く知らないまま、当時の「アンカー・シップ・インベストメント」に入社しました。


――印象に残っているお仕事のエピソードをお聞かせください。


井上 「飛鳥」の事業に関われたことがとても印象深いです。父が三菱重工の長崎勤務だったこともあり、幼いころから船や造船はとても身近な存在でした。しかし当時は、将来自分が船に関わる仕事に就くとは思いもしませんでした。実は「飛鳥Ⅱ」は父が建造に携わった船なのです。また、社員向けの内覧会で幼少時にクリスタルハーモニー(現飛鳥Ⅱ)を見学したこともあるのです。その時のことは鮮明に覚えており、その船にまたこうやって関わることができたということに運命みたいなものを感じています。

戒能 自分が銀行で関わってきたリスク管理部門や市場部門などでの業務は、どちらかというとお客様と対面する現場からは少し離れ「間接的」に経済に貢献をする部署であったと考えています。どの程度世の中に貢献できているかが見えにくい世界でもありましたが、持ち場で頑張ることが、日本経済への貢献につながると信じて頑張ってきましたが、一方で、直接的ではない部分にフラストレーションを感じることもありました。アンカーに興味を持ったのは、小規模の会社でバランスシートの両サイドに関わる形で、直接的にビジネスができるという点が大きかったです。その意味では「現場」の近さから生じる緊張感を日々肌で感じつつ、仕事を楽しんでいます。

山田 私も「飛鳥」の事業に携われたことです。客船であることに加え、事業投資となると随分違うものだなと感じております。特に印象に残っているのが、地方銀行さんプレゼンツによる「飛鳥寄港地での特別感のあるオプショナルツアー企画等」を実現するべくコーディネートをしたことです。それまでは金融の話しかしてこなかった地方銀行の方と観光や地域活性といった分野でコラボして何かをするという機会がなかったのでとてもいい経験になりました。

吉村 やはり「飛鳥」ですね。私たちが飛鳥の事業へ参加するということは一見すると「ファンドに事業売却する」と捉えられかねないので、日頃接する郵船グループの方にどう思われるのかを気にしていました。しかし、郵船グループのみなさんから「アンカーと組むことになってよかった」と好意的でポジティブに受け止めていただけたことが一番うれしかったことですね。


――ご苦労されたエピソードはございますか?


吉村 吉村:「アンカーって誰?」「ファンド??」というところから、新しい関係を築く難しさです。ファイナンサ―としてしっかりお付き合いさせていただくにあたり好意的に受け入れてもらえることもあれば、「こいつら、本当にちゃんとやってくれるのか?」という感じに受け取られることもあります。一つ一つ丁寧に問題点をほぐしながら、自分たちに何ができるのかを考えながら関係を築いていくことはとても大変でしたが、その築けた信頼関係は今では私たちのとても大切な財産となっています。これは余談ですが会社名をよく間違えらます・・。「アンカーシッピング」や「アンカーシップマネージメント」がよくありますね。私たちは「アンカー・シップ・パートナーズ」です!(笑)


――休日の過ごし方についてお聞かせください。


井上 4歳の娘と遊びます。公園に行ったりどこかへ出かけたり、ごく当たり前の日常ですが幸せな週末です。

戒能 うちは娘が3歳でして、井上と丸かぶりですが私も幸せな週末を過ごしています。

吉村 うちは息子が2歳でして・・・(笑)


――みなさん同じくらいのお子さんのパパなのですね!


山田 うちはちょっとだけ違いまして・・・11歳、7歳、5歳の三人です(笑)。工場見学が我が家のブームです。最近行ったのはカップヌードルミュージアムやシャトレーゼの工場です。食べ物系が多いのですが、子供たちのテンションが上がるのがうれしいですね。


――みなさんいいパパですね!


井上 仕事帰りは飲みにいかないですねぇ。まっすぐ家に帰ります。

山田 行かないですねぇ。ただ中途半端な時間に帰宅すると子供がちょうど寝付く時間だったりするので、時間調整が大切です(笑)。

吉村 玄関が開く「ガチャ」っていう音で起きちゃいますからね。そうなると遊び始めてしまいますから・・・。


――座右の銘は?


井上 ピータードラッガーの言葉で「The best way to predict your future is to create it」です。将来を見通したければ自分で行動せよという意味です。新しいことを見てとにかく行動に起こしてみようといつも心の中に留めています。

戒能 「失意泰然」です。仕事に限らず生きていれば良いことも悪いこともあります。しかしそのことに左右されず焦らず落ち着いて時期の到来を待てば、いずれは良い時期がやってくると思っています。

山田 稲盛和夫さんの言葉で「利他の心」です。近江商人の言うところであれば「三方よし」と似たようなイメージかと思います。自分だけが良ければいいという考えでは誰からの協力も得られず視野も狭くなり間違った判断をしてしまいます。たとえ時間がかかっても「自分」「相手」「社会(地域)」、みんなにとっていい結果が得られたらいいなと、仕事だけではなく普段の生活の中でも心掛けています。

吉村 中学校の先生に言われた「玉磨かざれば光なし」です。こつこつと努力することを心掛けています。


――関心事や感動したことはございますか?


井上 家族で「アナと雪の女王Ⅱ」を観に行きまして・・・感動しました。泣きました。娘も感動して泣いていました。たった4歳でも感動して涙するんだな・・・って思いました。

戒能 「ディスカバリーチャンネル」が大好きなのですが、ストリーミング配信をしているアプリを見つけまして・・・世の中なんて便利になったんだ!と思いました(笑)。世界のメディアが色々な情報を配信しているので、もしかしたら日本はその点では少し遅れているのかな?とも感じます。

山田 小学1年の娘が賞状を持って帰ってきました。読書週間期間中に、図書館で本を借りた冊数が多かった上位者が選ばれるのですが、その賞状でした。家で本を読んでいるところをほとんど見かけなかったので驚きました。先生によると、娘はよく図書館に行くそうで学校では本をたくさん読んでいるみたいなのです。どちらかというとアクティブなほうだと思っていたので娘のそういう一面を知ることができてうれしかったです。

吉村 一年半前からジムに通っておりまして・・・なぜかというとうちは男の子なので今からきちんと鍛えておかないとこの先大変だな・・・と(笑)。10年後、息子が12歳になったときに私は40代後半になるので今からちゃんと体力をつけておかないと、運動会で転んでしまったり、キャッチボールで肩が痛くなったりしたら嫌ですからね。


――みなさんの思い出に残る「一皿」のエピソードをお聞かせください。


井上 アメリカのカリフォルニアでチェーン展開している「IN-N-OUT BURGER」のハンバーガーです。アメリカ留学のときに、アメリカで一番初めに食べた食べ物だったのですがものすごくおいしくて、それ以来とりこになっていますが、日本にはないので食べられないのが残念です。

戒能 清澄白河の「ベッラ・ナポリ」のピザです。「ピザってこんなにおいしいのか!」と思ったピザです。今でこそ窯があるピザ店は多いですが当時はそれほどなかったので、窯を備えるお店のはしりだったのではないでしょうか?今でもこのピザが好きでたまに行きます。

山田 富士そばのカツ丼です。入行したての頃、当時の課長がよく連れて行ってくれたので、たまに食べると新人の頃を思い出します。

吉村 荻窪にある「丸福」の中華そばです。ごくごく普通の中華そばなのですが、子供の頃から変わらない味が好きです。親戚のおじさんがよく連れて行ってくれたのですが、亡くなって以来行っていないので、久しぶりに食べたいなと思っています。


――「心に残る絶景」のエピソードをお聞かせください。


井上 アメリカに留学しているときに車で大陸を一周したのですが、地平線まで続く一本道に自分の車だけの景色が忘れられないです。「もしもここで車が故障してしまったら・・・」と思うと怖さはあるのですが、大海原ではなく地上で地平線を見ることができたことはとても思い出に残っています。

戒能 パナマ運河です。ロサンゼルスからフロリダ州のフォート・ローダデールまでの間、いろいろな国の港を経由するクルーズ船に乗ったのですが、その時にパナマ運河を通りました。どう通過するのかをずっと船首で見ていました。「これはすごい!教科書に載っていたやつだ!!」と感動したのを覚えています。

山田 盛岡支店赴任時に訪れた十和田・八幡平です。新緑・紅葉・雪景色とそれぞれの景色がまったく違う表情を見せてくれ、そのスケールの大きさおよび季節ごとに移り変わる色彩の鮮やかさに感動しました。

吉村 新婚旅行で訪れたモルディブの海です。「こんなに美しい海があるのか」と感動しました。シュノーケリングで見た魚たちが泳ぐ美しい海の景色は忘れられません。心の毒が抜けていくようです。また来よう!と思っていたのですが、子供が生まれましたのでしばらく行くことはできませんが、子供が大きくなったら家族で訪れたいです。

 



【プロフィール】

(いのうえ・こうすけ)
1978年生まれ 長崎県出身
みずほ銀行を経て2014年8月より現職

(かいのう・みちやす)
1974年生まれ 千葉県出身
みずほ銀行を経て2018年10月より現職

(やまだ・たけし)
1980年生まれ 埼玉県出身
みずほ銀行を経て2016年2月より現職

(よしむら・ともひこ)
1982年生まれ 山口県出身
メーカー勤務を経て2008年1月より現職

(いいの まさひろ)
1984年生まれ 埼玉県出身
外資系金融(証券会社、格付会社、再保険ブローカー)数社での勤務を経て2017年3月より現職
某ヘヴィメタルバンド(インディーズ)のリードギタリストとしても、絶賛活動中(2014年~)

(くろかわ まさひろ)
1988年生まれ 神奈川県出身
証券会社勤務を経て2017年4月より現職
高校時代はアメフトで日本一のQB
アンカー唯一の体育会枠での採用

■アンカー・シップ・パートナーズ株式会社 (https://www.anchor-ship.com/


記事一覧に戻る