株式会社カシワテック
代表取締役社長
山下 義郎氏
―― 高輪の一等地にあって、素敵なオフィスですね!
山下 ありがとうございます。ここは昔、弊社で外国人向けの賃貸マンションを保有していたんです。弊社は元々、東京駅の近くに構えていたのですが、その後この場所に移り、建て替えた際に、1階と2階を会社にして、3階と4階が賃貸マンションとしました。
―― オフィスを見ると舶用機械メーカーさんというイメージはありませんが、どのようなことをしているのですか?
山下 主に、造船所さんに船舶用の消火設備を納入しています。また、ボイラーの排気ガスをカーゴタンクに送るイナートガスシステムでも国内で60%のシェアを持っています。消火装置は、主に泡で消火するものと、二酸化炭素で消火するものがありますが、弊社は泡消火装置で世界一のシェアを獲得しています。また、茨城県の筑波に研究所を持っていて、商品開発にも自信がありますよ。この研究所は国の検査機関からも使わせて欲しいとの依頼も多くありますし、専業メーカーでこのような研究所を持っているのは弊社だけですので、信頼性の高い商品を提供する自信があります。
―― 泡で火を消すのと、二酸化炭素の場合とどう違うのですか?
山下 二酸化炭素の場合は、人がいると使えませんので、どうしても初期消火が遅れてしまいますが、泡の場合は安全ですのでその心配は要りません。また環境にも優しいんですよ。
―― 他にどんな商品を扱われているんですか?
山下 消防艇やタグボート向けの「他船消火装置」も国内トップシェアですし、昨年国内メーカーでは初めて開発した「N2ジェネレーター」も順調に売上を伸ばしています。
―― 商品のイメージが具体的に湧きません・・
山下 そうですよね。まず「他船消火装置」というのは、大型船に火事が起きた際に、小さなタグボートや消防艇なんかが駆けつけて消火するんですが、その為の消火設備のことです。
「N2ジェネレーター」というのは、「窒素ガス発生装置」のことです。ケミカル船なんかで、カーゴタンクの中から貨物(化学品)を出してしまった後、そこに空気を入れると引火してしまう可能性があるでしょう?だから不活性の窒素を発生させて、窒素でタンクを満たすんです。さっき言った「イナートガスシステム」の場合は、窒素ではなく排気ガスをタンク内に供給するシステムなんです。排気ガスは燃焼した後の気体なので、酸素がなく引火する心配がないのです。
―― なるほど、よく分かりました。話を変えますが、ご経歴を拝見すると、元々銀行にいらしたのですね。
山下 大学時代は体育会だったので、勉強をほとんどしてなかったんです。銀行に行けばいろいろな会社を見たり、経済についても勉強できるのではないかと思いました。当時は、不動産バブルで、信託銀行がもてはやされていた時代でもありましたしね。
―― 体育会ですか、何のスポーツをしていたのですか?
山下 アイスホッケーです。中学・高校は野球部だったんですが、慶応の野球部で活躍する自信はなかったので、アイスホッケー部に入ったんです。
―― 慶応大のアイスホッケー部ですか!練習がきつくて有名ですよね?!
山下 よく知ってますね、確かに他のアイスホッケーの強豪大学と違って“体育会推薦”で入学してくる学生がいないので、その分を体力で補うべく、基礎トレーニングをずいぶんやってました。かなりしんどかったですね。昼間は「筋トレ」して、その後スケートリンクの一般営業時間が終わった夜中に「氷上練習」という日課を4年間続けてきました。一番辛かったのは、毎年恒例の12月のクリスマスから年明けの1月8日くらいまでの合宿でしたね。毎日朝6時から氷に乗って、何度かの食事、休憩をはさんで、夜までずっと走るんですよ。パック(アイスホッケーで使うボール)をまったく使わず、ただひたすら走るんです。クリスマス・年末・正月と一番楽しい時期を、山にこもって厳しい練習。あの時のきつい練習を耐えられたと思うと、今は何があっても怖くありませんね(笑)。
―― 体育会だと「学ラン」着て大学に通ってたのですね。
山下 練習のある日は、いつも学生服着て大学行ってました。そういう意味では、ほとんど学生服で大学行ってましたね(笑)。
―― 野球、アイスホッケーをやっていたのでしたらゴルフも上手なのでは?
山下 そうでもないです(笑)。100近辺でうろうろしています。
―― 他に趣味はなんですか?
山下 今はアイスホッケーも野球もやってないんですよ。敢えて言うなら、人と会って美味しいものを食べるということですかね。お客さんとお酒を飲むのも大好きです。
―― 健康法は?
山下 土日にお酒を飲まないことです(笑)。
―― 最近感動した事は?
山下 高校で野球部だったと言いましたが、昨年うちの高校が甲子園に出たんですよ。甲子園まで応援に行ったんですが、1回戦を逆転勝ちした時には、思わず涙が出てしまいましたね。
―― 会社を経営する上で注意していることは何ですか?
山下 社内のコミュニケーションをよくして、問題があったらみんなで解決方法を考えるということですね。皆に高いモチベーションを持ってもらえるように努めています。全ての商品でそれぞれ世界一のシェアを取るべく、社員一同頑張っています。
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