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【まりたん第6回】
10年ぶりに、自分を育ててくれた船舶部門へ
お客さまに喜んでもらえることがやりがい
< 第525回>2023年01月23日掲載 

損害保険ジャパン株式会社
海上保険金サービス部
船舶保険金サービス課
課長代理 橋場 聖 氏

 







――貴社のご紹介、強みについてお聞かせください。

 SOMPOグループは「お客さまの視点ですべての価値判断を行い、保険を基盤としてさらに幅広い事業活動を通じ、お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービスをご提供し、社会に貢献します。」という経営理念を掲げています。
 船舶保険の営業部門は、東京を中心とした東日本を担当する船舶営業部と関西以西を担当する西日本船舶営業部から構成される二部体制であり、加えてシンガポールに船舶専門の担当を設置しています。事故対応および損害防止サービスを担当する保険金サービス部門は東京・大阪・広島・愛媛・九州に拠点を有し、海外にクレームエージェント・弁護士等の専門家ネットワークを擁して万全の体制を整えております。


――ご経歴についてお伺いします。

 2003年に旧損保ジャパンに入社し、8年間東京および愛媛県で船舶保険の支払部門に従事しました。その後国際企画や法務部門といった他部門の業務に従事していました。40代は船舶部門に戻ると決めていたので、2021年に社内公募制度を利用して現在の部署に戻ってきました。
 現在は東京地区および東南アジアの船舶会社を担当し、船舶保険および貨物賠償保険の保険金支払業務を行っています。


タイトル
 
――入社後に船舶部門に配属されたのはご自身の希望だったのでしょうか。

 いいえ、当初は営業を希望していました。実は父も同じ職種で自動車保険や火災保険の営業をしていて、その勧めもあって希望を出したのですが、想像もしていなかった部署に配属されました。青天の霹靂ではありましたが、この部署に育ててもらったという思いは強いです。

――約10年ぶりに船舶部門に戻られて、大きく変わったと感じたことはありますか。

 統計をとると過去と比べ事故が減っているのですが、実感としても少なくなったなと感じています。また、以前と比べるとお客さまとのコミュニケーションがとても速くなりました。過去には郵便で資料が届くこともあったのですが、現在では大量の資料をメールで送れるようになりました。ただ、その分早く解決することが求められるようになったので、業務量としてはむしろ増えたように感じますが。
 もう一つ大きく変化したのは、出張が無くなったことです。20代の頃、多いときは月1回程度ありました。船舶保険の説明や事故のケーススタディなどのセミナーを開催していましたが、現在はウェブでできるようになり、出張の機会がなくなり残念です。


――思い出に残っている仕事はありますか。

 入社3年目にお客さまの船舶が座礁しました。当時、ハリケーン・カトリーナという大型ハリケーンによる強風で多数の船舶が一度に座礁してしまい、救助ボートの争奪戦になると想定し、急いで救助船を手配しました。ところが手配の翌日に本船が離礁してしまい、救助が不要になってしまいました。契約は開始していたので救助報酬は支払わざるを得ず、お客さまからは大変なお叱りを受けました。
 今でも手配の判断自体は誤っていなかったと思っているのですが、合理的な判断をすれば良いものではない、という経験を叩きこまれた、社会人としての自分の原点になる出来事です。


――仕事の大変さや、やりがいに感じているところはどこですか。

 大変なところは、常にマイナスから始まるところです。少なくともマイナスをゼロにし、できればプラスにしていきたいと思っています。
 お客さまは必ず困っているので、その方々の代わりに働きたいと思っています。それによって喜んでもらえることもあり、それが自分にとってのやりがいです。


――最近の世界情勢の影響はありましたか。

 現在世界海事大学(World Maritime University)の大学院に在籍しているのですが、授業料を振込むときに円安を実感しました。

――世界海事大学に在籍されているのですね。きっかけは何ですか。

 お客さまや取引先の方で、海事系の大学・大学院に通っている方とお会いする機会があり、自分も改めてそういった教育を受けたいと感じました。
世界海事大学では、イギリスや世界の海上保険について学んでいます。教科書や、大学のデジタル図書館を利用しながら課題の論文を書いています。


――休日はどのように過ごされていますか。

 過去に開示業務に携わっていたので、海運業界に限らず企業の統合報告書を読むのが非常に好きです。
 現在は仕事以外の時間は論文のことを考えている時間が多いです。他のことをしていても課題が常に頭の片隅にあって、急にアイデアを思いついて慌ててメモを取ったりしています。
 妻と共通の趣味では、宝塚歌劇団が好きです。以前旅行に行ったときにたまたまチケットがとれて、面白かったのでまた観ようと思っていたのですが、その後、全然抽選に当たりません・・・。初めての時は運よくチケットがとれたのですが、普通はファンクラブに入ってもなかなか取れないんですよね。


――今後の仕事の展望を教えてください。

 損保ジャパンというと伝統的な日本の保険会社というイメージを持たれるかもしれませんが、SOMPOグループ海外保険事業を中心とした事業ポートフォリオの多角化を進めておりますし、また日本2位の売上高を誇る介護事業も経営しています。いい意味で変化を遂げている会社だと考えておりますので、船舶部門も負けずに変化していきたいです。個人的には、保険料の高低ではなく、保険金サービス部門の品質を理由に当社を選んで頂けるように、引き続き頑張っていきたいです。
 また、業務内容によっては休日や夜間などの対応が必要となり、24時間365日の体制となっていますが、こちらを整備するのも課題だと感じています。お客さまに提供するサービスの質を保ちつつも、働き方改革を進められたらと思っています。


――業界の方へのメッセージをお願いいたします。

 海運界の方々と仕事をさせて頂いて感じるのは、皆さま船舶というハードウェアのプロだということです。他方で、事故が起きた際には船舶自体への対処だけではなく、法律・裁判等の法制度や船荷証券・傭船契約等の運送契約、救助契約・共同海損といったソフトウェアに対する対処が必要になります。保険契約も一つのソフトウェアですので、ソフトウェアを日常的に扱っている保険会社だからこそ海運業界のお役に立てる局面が必ず出てくると思います。
 
【プロフィール】
橋場 聖(はしば さとし)
北海道出身
2003年 4月株式会社損害保険ジャパン(現損害保険ジャパン株式会社)入社。
保険金サービス部門、国際企画部門、法務部門等を経て2021年より現職。

■SOMPOホールディングスHP(https://www.sompo-hd.com/

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