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【まりたん第9回】
商船三井の未来を拓く六重奏
< 第539回>2023年11月15日掲載 


株式会社商船三井 技術革新本部※
※2023年11月1日付で「技術・デジタル戦略本部」に組織改編


足達 美奈 氏
大西 馨子 氏
梅村 仁美 氏
吉田 百花 氏
沼田 紗奈 氏
加藤 ふみ 氏






――――技術革新本部についてご紹介をお願いします。
 技術開発の強化に向けて、2018年4月に新設しました。技術部、スマートシッピング推進部、海洋技術部で構成されており、各部が連携して、次世代に繋がる技術開発を推進しています。またプロジェクトごとに、業種を超えた企業・団体・ 研究機関等との共創にも積極的に取り組んでいます。技術部では新造船の引き合い、新造建造管理、改造や技術開発など、ハード面の技術管理や開発を担当しており、スマートシッピング推進部は、船関連ソフトや通信システムの技術開発など海上のICT「Information and Communication Technology(情報通信技術)」を担当しています。海洋技術部は、FSRU(浮体式LNG〈液化天然ガス〉貯蔵・再ガス化設備)やFPSO(浮体式石油生産・貯蔵・積み出し設備)などの浮体事業を含む海洋分野の技術開発を行っています。
 昨今の環境規制強化によって事業環境が大きく変化する中、GHG削減に寄与するLNG燃料船やゼロエミッション船などの新燃料船の開発のほか、風力エネルギーでGHG削減を目指す「ウインドチャレンジャー」(硬翼帆式風力推進装置)、運航効率改善や保守安全向上に寄与するデータプラットフォーム「FOCUS(Fleet Optimal Control Unified System)」の開発など、当社として独自に開発することで競合他社との差別化を図っています。

 ※2023年11月1日付の組織改編および業務分担変更の詳細はこちら:https://www.mol.co.jp/pr/2023/img/23139.pdf


――――みなさまの自己紹介をお願いします。

足達 2018年に入社し、現在6年目です。女性の技術職社員はこの場に6人居ますが、入社当時は私1人でした。現在は、商船三井グループの船舶建造コンサルティング会社「株式会社MOLシップテック」に出向し、船体(貨物区画、構造区画)を中心に新造船の図面承認業務を担当しています。入社当初は船舶のスペック交渉を担当していましたが、その後図面承認業務、日本海事協会への出向、海外研修、造船所での建造監督などを経て、今年4月にMOLシップテックに戻ってきました。子供の頃は親の転勤で、長野県、静岡県、和歌山県で過ごし、海の近くで過ごす時間が長かったので、海に関係する仕事に就きたいと考え、大学では船舶工学を専攻しました。

大西 2019年に入社し、5年目です。現在は足達さんと同様に私もMOLシップテックに出向しており、8月から建造監督として造船所(株式会社新来島どっく)さんに駐在し新造船の工程管理や品質検査を行う予定です。入社後は1年間スマートシッピング推進部に在籍したのち、日本海事協会への出向を経て、技術部で約2年LNG燃料船の新造船のスペック交渉を担当してきました。その後、MOLシップテックに出向となり、2023年4月から7月までフランス船級協会(BV)で研修を受け、先日帰国したばかりです。大学では機械工学を専攻していましたので、船に関しては入社してから勉強しました。

梅村 2020年に入社し、現在4年目です。入社後はLNG船プロジェクトチームに所属し、LNG船の新造業務や就航船の不具合フィードバックなどを担当していました。入社2年目の夏に現在のゼロエミッション技術革新チームに配属となり、アンモニア、水素、燃料電池、メタノールなどの代替燃料の船舶への適用に向けた技術開発や検討を担当しています。大学は工学部機械科で、大学院では環境科学を専攻し、燃料電池の研究を行いました。

吉田 2021年に入社し、現在3年目です。入社後は、スマートシッピング推進部に配属となり、FOCUSのアプリ開発や営業支援を行ってきました。2022年4月からは、環境・サステナビリティ戦略部も兼務となり、「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」で掲げる2050年までのグループ全体でのGHG排出ネットゼロ実現のために、メーカーや研究所と協力して、FOCUSのハード面、ソフト面において、その活用の可能性を広げる取り組みをしています。大学では、情報関係を専攻し、所属研究室では、統計や数理最適化を用いて船の配船計画の策定などを行ってきました。

沼田 2022年に入社し、現在2年目です。LNG船以外の一般商船の引き合いから仕様策定を担当しています。これまではスペック交渉等の仕様策定業務が中心でしたが、造船所選定から造船契約等の業務についても現在勉強中です。大学では、船舶海洋工学を専攻し、津波のシミュレーションなど、CFD(Computational Fluid Dynamic:数値流体力学)を用いた研究を行っていました。

加藤 2023年に入社し、現在1年目です。新入社員研修終了後MOLシップテックに配属となり、約2ヶ月が経ちます。現在はトレーナーである足達さんの下、船舶の基礎的な用語や図面の読み方、主機の工場試験の立ち合い等、網羅的に学んでいるところです。大学では理学部の地球惑星科学を専攻し、気象学の分野を学んでいました。具体的には、レーダーデータを用いてインドネシア域のある降水現象のメカニズムを研究していました。船についてはまだ勉強中ですが、今後は建造監督として現場に足を運ぶなどして知見を深め、ゆくゆくは学生時代に学んだデータ解析や気象学の知識を活かしたいと思っています。


――――技術革新本部の取り組みについて、具体的にご紹介をお願いします。
船の働き方改革---居住区改善プロジェクト
大西・沼田 「居住区改善プロジェクト」という名で船上の働き方改革を行っています。商船三井グループが設定した5つのサステナビリティ課題のうちの1つ「Human & Community 人の活躍と地域社会の発展」にあたる取り組みで、活き活きと働ける組織風土により、一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮し、組織としてより発展することを目指しています。

 生活する環境と仕事の環境をきっちり分けて、気持ちが切り替えられる居住区
 具体的には、生活する環境と仕事をする環境を物理的に分けて、気持ち的にも切り替えられる様にしています。居室のある空間と、Ships Office等の仕事に関連した空間が交差しないようにする等工夫をしています。船内はおのずと限られた空間であるため、配置を工夫するのは難しいことも多いですが、自動車運搬船など空間を平面上に広くとれる船種では比較的取り組みやすいです。

 3rd place "IKOI"
 また、「乗組員にとって癒しとなるための空間」かつ「士官・部員問わず誰でも使える空間」となるよう設計した、3rd place---サードプレイスを導入しようとしています。まず、ファーストプレイスは居住する場所を指し、セカンドプレイスは仕事をする場所を指しますが、サードプレイスはその間の中間的な領域として位置付けています。陸上生活では仕事が終わった後、ちょっとカフェに立寄ったりするような、仕事でも生活の場でもない---そういった社会的責任から解放されて気分転換をするような場所がありますが、船内にはこのような場所は無かったため導入を決めました。
 すでに士官向けのサロンやバーカウンターがある船は多くありますが、職位の制限がありクルー全員が自由に使える場所ではありません。サードプレイスは、「誰でも使える」を大事なコンセプトの1つとしていて、リラックスした雰囲気のなかで職位を越えたコミュニケーションが生まれることも目指しています。このように船員がリラックスできる空間を作り、良いコミュニケーションが生まれることで安全運航にも寄与すると考えています。
 我々はこの船上のサードプレイスを「IKOI」と名付けました。当社船のファンネルマークカラーであるオレンジ色をあしらったロゴも作成しています。人が向き合ってコミュニケーションをとる場をイメージし、人にやさしい場所、人がやさしくなれる場所になるよう想いを込めました。技術部に加えて、陸上勤務中の若手海技員とも協業し現場の意見も取り入れながら、約10名程度のチームで進めています。






新燃料、ゼロエミッションに向けた取り組み
 商船三井グループ 環境ビジョン2.2
梅村 当社グループは、2050年までのネットゼロ・エミッション達成と、人・社会・地球のサステナブルな発展を実現するための道標として「商船三井グループ 環境ビジョン2.2」を2023年の4月に策定しました。「環境ビジョン2.2」は、2021年6月に発表した「商船三井グループ 環境ビジョン2.1」からの着実な進捗を示すだけでなく、目標達成に向けた指標としてKPI・マイルストーンを追加・更新することで取り組みの実効性を高め、ネットゼロ・エミッションへの移行をより明確化しています。
2050年ネット・ゼロエミッション達成に向け、道標を具体化
「商船三井グループ環境ビジョン2.2」の詳細はこちら:https://www.mol.co.jp/sustainability/environment/vision/

 技術革新本部としては、新造船関係ではLNGやメタノール燃料船の建造に加え、アンモニア、水素等新燃料の船舶適用、更にメタンスリップ削減、ウインドチャレンジャーなど開発を要するプロジェクトを私達のチームが担当しています。
 例えば燃料電池はまだ外航船で使用されるケースは少なく、陸上とは異なる負荷変動や振動、塩害など船舶への適用には様々な課題があります。タンク容量や安全性、航路の長さの違いといった条件を鑑みながら、それぞれの燃料の特性を活かして使い分けていくことが必要になってくると思います。新燃料としてどれが一番か?とよく聞かれますが、総合海運会社としては現段階で選択肢を絞る必要はないと思っています。世界的にまだどれが主流と決まっていない中では、アンモニア、水素、メタノール、燃料電池などすべてにポテンシャルがありますので、現時点では選択肢を数多く持っておき、手広く取り組むことが最善と考えています。
 また、当社の環境への取り組みについて、「効率運航」で燃料消費量を減らす取り組みも行っており、スマートシッピング推進部で吉田さんが担当しています。




吉田 最近始まった、効率オペレーションの推進を目指す「DarWINプロジェクト」では燃費効率を高め、足元からできるGHG排出量削減を追求しています。一例としては、商船三井が研究開発として実施した最適トリム運航を更に深度化させ、燃料削減効果をよりクリア・定量化することで本船での実行率を高める取り組みです。また、運航改善、GHG削減を促進する専任組織として2021年にフィリピンに設立した「EcoMOL Inc.」の現地のスタッフと共に、運航データの利活用、分析を通して具体的な運航改善につながる施策の立案、システム改善を含む仕掛け作りを行っています。

梅村 その他のアプローチとしては、風力活用、船体への摩擦抵抗を抑制する空気の泡潤滑装置等の省エネディバイスを掛け合わせて総合的に燃料消費量、並びにGHG排出削減を目指していますので、新しい技術は積極的にキャッチして、社内の関係部署への展開、導入検討につなげています。

LNG燃料フェリー、今後建造予定のクルーズ船
 日本初のLNG燃料フェリーの現場監督
足達 今年就航した、当社グループ会社である「株式会社商船三井さんふらわあ」が運航する、日本初のLNG燃料フェリー「さんふらわあ くれない/むらさき」で、当社の女性技術者として初の現場勤務を経験しました。主に船体パートの検査を担当し、それまで経験した貨物船とは異なる旅客船ならではの難しさを感じました。本船は"カジュアルクルーズ"をコンセプトに内装に力を入れています。"カジュアルクルーズ"は単なる「移動手段」ではなく「移動そのものを楽しむ」、「客船よりも気軽に船旅を楽しんでもらう」ことを目的に、2018年に就航した「さんふらわあ さつま/きりしま」以降取り入れています。特に「さんふらわあ くれない/むらさき」では、「さんふらわあ さつま/きりしま」からよりグレードアップしており、クルーズ船並みの内装となっています。現場では、内装の細部にまで気を配る必要があり、貨物船と比べて検査項目も多岐にわたり、いつもとは違う緊張感がありました。また一般商船の場合は一般の方の目に触れる機会は少ないですが、今回のフェリーでは、SNSなどを通じて乗船されたお客様からの反響含めて、フィードバックを得ることができたので、とても貴重な経験でした。

 30年ぶりのクルーズ船建造
梅村 現在、技術部(ゼロエミッション技術革新チーム)に所属していますが、当社グループの運航するクルーズ船「にっぽん丸」の後継クルーズ船の新造船業務も兼務になり、今後は造船所選定や仕様策定を担当します。本船は、2027年頃の竣工を予定していますが、当社として30年ぶりとなるクルーズ船の建造に携わることができることをとても嬉しく思います。




船のDX化、データの利活用
吉田 弊社運航船への船上データ収集システム「Fleet Transfer」の搭載を進めています。船上データを集めることはもちろんのこと、どのようにしてそのデータが活用できるかを考え続けることが重要だと感じます。FOCUSを通じてすべての船舶の状況把握を正確かつ、スピーディに行えるようにした上で、「Fleet Transfer」のデータを基に、Fleet guardian---本船上の機器の故障予兆診断を行うといった、これまでの船舶モニタリングの更に一歩先を行くモニタリングにも生かしていきます。不稼働の最小化、機器メンテナンスの最適化も視野に入っています。
 高度安全運航支援分野の詳細はこちら:https://www.mol.co.jp/sustainability/innovation/case/safety/index.html

 海上での高速通信の普及によって広がる可能性
 2023年度に高速通信を当社運航船約140隻に導入していく予定です(https://www.mol.co.jp/pr/2023/23133.html)。高速通信に関連する研究開発としては、安全運航の深度化や効率運航の深度化に繋がるような取り組みを進めていきたいです。安全運航の深度化であれば、例えば、乗組員がウェアラブルデバイスを使って、動画や写真、音声等を陸上と共有してトラブルを未然に防ぐ等です。そして、効率運航の深度化の観点では、例えば、船同士で本船データを共有したり、船陸間でのシームレスな情報共有が進んだりすることで、これまでは個船別で検討していた効率的な運航形態がフリート全体としての効率運航に変わっていくのではないかと思います。


――――社内の人材育成、社内教育についてお聞かせください。
加藤 新入社員研修後、OJT制度により新入社員1人につき先輩社員1人がトレーナーとして指導を行い、実務を通して業務・業界について勉強をしていきます。私のトレーナーは足達さんですが、ここにいる先輩方は年齢も近いのでコミュニケーションがとても取りやすく、気軽に意見交換ができる雰囲気なので、日常業務において困った時はよく意見を貰いにいっています。私がOB・OG訪問をした際、この場にいる全員とお話ししましたが、その時から職場の明るい雰囲気や皆さんの関係性の良さを感じていました。

沼田 2年目以降も直ぐに独り立ちするわけではないので、周囲の先輩社員のサポートを受けながら、一人前の技術者としてステップアップできる仕組みだと感じています。

足達 ここ数年で、働く環境も大きく変化しています。これまで伝統的に続いてきたジョブローテーションが今後も続くとは限らないと思っています。新燃料船の開発や新技術の導入など、これに付随した新たな業務も発生すると思いますので、多様なキャリアパスを持つ人材の育成にも柔軟に対応していきたいと考えています。

 性別問わず、ライフイベントと共存できる環境を作っていけたら…
足達 私が入社した当時は、女性が現場に行けるのか?試運転に立ち会えるのか?毎回女性が現場に行くことに対して、お伺いを立てていました。今では女性技術者は6名まで増え、もはや女性の存在は特別ではありません。それでも他の業界と比較すると、女性の割合は少ないです。私たち6名も、これからライフイベントを控えていますが、エンジニアとして成長する上で、様々な問題に直面すると思います。そのような状況において、性別を問わずライフイベントと共存できるような環境を作っていけたらと思っています。性別だけでなく、国籍や年齢も含めて互いに理解し、新しい働き方を推進できればと考えています。
 そしてここに居る6名も、これから現場勤務や出向を控えているので、全員が揃う機会は今しかないかもしれません。同じ場所に居なくても、夫々が得意分野を活かして働く中で、今後もお互いの成長を感じることができたら嬉しいです。



――――お休みの日の過ごし方や趣味についてお聞かせください。
足達 趣味はスキューバダイビングや演劇鑑賞、音楽鑑賞です。

大西 休日は自宅でゆっくり過ごすことが多いですが、サウナが好きでそのために出かけることもあります。自然の中で過ごすことも好きなので、長期休みはキャンプや山登りに行くこともあります。

梅村 2年ほど前から登山を始めました。登頂はまだ5〜6座ですが、8月中旬には北アルプス縦走を予定しています。登山以外では、学生の頃から器械体操(跳馬、段違い平行棒、平均台、床)をやっています。今年は社会人も出場できる全日本マスターズ体操競技選手権に参加するので、それに向けて休日は練習をしています。

吉田 会社に入ってから、同期に誘われてたまに山登りに行くようになりました。今年7月には、船員を支援する国際的な慈善団体「The Mission to Seafarers(ミッション・ツー・シーフェアラーズ)」が主催する「アドベンチャーレースジャパン(ARJ)2023」に参加する機会があったのですが、無事に完走することができました。

沼田 足達さんと同様、スキューバダイビングです。コロナ禍で海外に行くことは難しかったですが、南伊豆や沖縄、小笠原の海に足を運びました。マンタやサメなど大物生物を見るのが大好きです。海外への渡航が緩和されたので、次回は是非野生のジンベイザメを見てみたいです。

加藤 漫画を読むことにはまっています。今一番好きなのは「1日外出録ハンチョウ」です。外が苦手というわけではなく、学生時代は馬術部だったので、真夏の屋外にも耐性があります(笑)。今年の夏、初めて建造中の船の訪船を経験しましたが、馬術部で鍛えられた甲斐あって、直射日光の暑さも苦になりませんでした。社会人になってからは、気力と体力が重要だと感じるようになったので、最近では筋トレも始めました。


――――今後の目標をお聞かせください。
加藤 まずは船の知識をしっかり身に着けること。その上で今後専攻していた気象やデータ分析に関する知識を活かしたいと思っています。

沼田 2年目なので、まだまだ勉強することがたくさんあります。当社は海運会社として、計画から建造、運航まで全体を俯瞰できるので、様々な船種に関わり、そしていずれは海洋技術部(オフショア)の知見も広げていきたいと思っています。

吉田 今取り組んでいる業務はとても楽しいので、環境負荷低減を軸とした業務を今後も継続したいと考えています。現在はソフトが中心ですが、将来的にはハードを取り扱う部署や営業にも行き、幅広い知識と経験を身に着けたいです。そしていつか、海外での経験も積みたいと考えています。

梅村 当社として約30年ぶりとなるクルーズ船の新造船担当になったことは、大変光栄であると共に身の引き締まる思いです。これまで新造船業務の経験は少ないですが、フラッグシップになり得る、この船の竣工に全力で取り組みたいと考えています。そして将来的には、ウインドチャレンジャーのような当社にとっても社会にとっても影響力のあるプロジェクトを立ち上げて完遂させたい、という目標を持っています。現在、自身の手掛けている燃料電池関連のプロジェクトもあり、少しずつでも実現に向けて進めていきたいと思っています。

大西 短期的には、建造とオペレーションの両方の目線での品質管理の知見や安全運航の知識を習得したいと考えています。担当してきた新造船の仕様策定では、夫々の関係者(船員、造船所、船級)が求める安全レベルに対して、当社の求めるレベルを説明・理解していただき、どのように実現できるかを一緒に考え、交渉を行ってきました。折衝の過程では判断に迷うことが多かったものの、先輩や海技員にアドバイスいただきながら仕様策定を進め、強いやりがいを感じることができました。今後は建造監督や船舶管理などを経験し、より広い視野を持った技術者として高度な交渉や提案ができればと考えています。長期的には、LNG燃料船に関わった経験を活かして、アンモニアや水素などの新燃料の一般商船への適用にも携わりたいと思っています。

足達 私はこれまで「海が好き」という思いで船舶工学を学び、今現在に至っています。入社1年目で新造船のプロジェクトを担当し、2年目には1人で造船所とスペック交渉、5年目で現場監督、と新造船の工程については理解しているつもりです。ただ、全体俯瞰は不十分だと感じています。次のステージでは、船舶管理会社で勤務予定なので、就航船の経験を培い20年航行する船について現場で学びたいです。そして再びこの場所に戻ってきたら、プロジェクト全体を俯瞰し、新しい環境への適応と伝統的な業務の両立をできるエンジニアになりたいと思っています。



【追記】本インタビューは、2023年8月初旬に行いました。
 
【プロフィール】
足達 美奈(あだち みな)
2018年入社、船舶海洋工学出身

大西 馨子(おおにし かおるこ)
2019年入社、機械科学工学出身

梅村 仁美(うめむら ひとみ)
2020年入社、環境科学出身

吉田 百花(よしだ ももか)
2021年入社、経営システム工学出身

沼田 紗奈(ぬまた さな)
2022年入社、船舶海洋工学出身

加藤 ふみ(かとう ふみ)
2023年入社、気象学出身

■商船三井HP(https://www.mol.co.jp/

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